クラフトファーができるまで。(1)【原糸の染色】
今回から少し連載で、クラフトファー(フェイクファー、エコファー)が生地になるまでの工程を
お伝えしていきます。
日本で唯一の伝統的なパイル織物の生産地、高野口から秘密の現場と高野口パイルの魅力をご紹介。
少しでも興味を持っていただけると幸いです。
高野口パイルと中野メリヤス工業の歩みについてはコチラのstoryをご参照くださいね。
それにしても、正直「糸」からどうやってあの「フワフワの生地」になるのか想像できないですよね。
クラフトファー(フェイクファー)ができるまで。
おおまかな工程として以下の順に生地を作っていきます。
1.原糸の染色
2.糸繰り(コーンアップ)
3.丸編み工程
4.テンターと呼ばれる生地の延伸工程、糊付工程を経て毛割り・シャーリング
5.生地へのプリント(後染め、柄物の場合)
1つの会社では生地はできません。
ファー生地ができるまでに沢山の工程があり、小さな田舎町の高野口で培ってきた職人の伝統的な技術は
今も脈々と続いています。
原糸の染色
まずは、ファー生地の元となる「糸」を染めるところから。
いつも糸を染めていただいているのは昭和37年から続いている株式会社木下染工場さん。(以下、木下さん)
木下さんの染工業では、主に4種類の染色技法があります。
・糸染め(綛(カセ)染色とチーズ染色の二種類)
・生地染め(後染め)
・製品染め(ピース染め)
・捺染(プリント染色)
国内で現存する数少ない貴重な機械もたくさん有り、工場を見学するだけでもとても楽しくて働いてる方や職人
方は優しくてアットホーム。
糸染め(先染め)の綛染色
風合い良く仕上がる綛(カセ)染色。高野口のパイル織物に適した染色機のひとつだそうです。
噴射染機で、綛(カセ)の状態でムラの出来ないように回転させながらを使って染色していきます。
この噴射染機は綛(カセ)染色機ともよばれていて木下さんの染工場では小ロット、大ロットに対応したサイズの
機械もあって小さい方は小型で可愛い。
染料の色合わせ
糸を染める染料について。
3色(赤、黄、青)または2色の染料で指定された色を作りだします。
ビーカー屋さんというカラーマッチング(色合わせ)を専門にしている業者さんがデータ化されている情報を
元に色を作っていきます。
その作業も長年の経験で得た「コツ」がないと思うような色が出なかったりもするそうです。
※こちらの画像は洗浄中で染色中ではございません。
パイプのノズルから染色液を噴射させながら染める染色機なのですが、この噴射染機を目の前で見ると圧巻です!
染める際は、紀の川の地下水をボイラーで100℃まで蒸気で沸かしているそうです。
染め上がった糸の水分を飛ばした状態。
今回は鮮やかなオレンジ色で、まるで橋本市の名産品の柿みたいな色味ですね!
この後、糸をコーンアップ(糸繰り)する作業となるので木下染工場さんの染加工はここまでですが、
生地が出来上がってから後染めやプリント染色でもお世話になります。
そのお話はまた別の回にて。
ちなみにこちらは、パドル染色機。
製品染め用の染色機で、生地を優しく染め上げる特徴を持っているので衣服や小物を染めるのに適しているそうです。
個人的な意見ですが、密かに絶景スポットだと思っています。
本当の水色ってこんな色を指すのかなー。なんて考えてしまう。
紀の川の澄んだ水。
これこそが高野口でパイル織物が繁栄した一つの要因でもあります。
そんな歴史に思いを馳せたりしながら、木下さんの染工場の見学を終えました。
お忙しいなかご協力いただきありがとうございました。
オーダーメイドカラーの生地
こちらはオーダーメイド依頼でいただいたカラーを糸に染色したサンプル品ですが
見ておわかりいただけるように、色の再現はとても精密でご希望に添えるよう色味を微調整しています。
オーダーメイド生地は当然ながら弊社にはない色や柄になるので、仕上がりを待っている間は
ワクワクしてしまいます。
思いもよらない意外な組み合わせがクラフトファー(フェイクファー、エコファー)の
新たな可能性の発見になったりしてインスピレーションが湧いてきます。
色の調整は大変で簡単な事ではないですが、とても刺激になるのでありがたいです。
もし、
欲しい色の生地がない。だったり、他にないオリジナルの製品作りの際にはオーダーメイドカラーも
受付しておりますのでご活用くださいね。
※オーダーメイドカラーの最低ロットがございますのでご了承ください。
掲載している商品の半数ぐらいは別注色可能です。
最低ロット約10~15m
最低ロットで生産する場合の予算は全て込みで5万円前後。(期間は1.5~2ヶ月)
プリントの場合は全て込みで10万円前後となります。
気になった方は是非、お気軽にお問い合わせください。