フェイクファーを使った本多沙映個展_cryptid
みなさま、新しい年を迎えていかがお過ごしですか?
早いものでもう一ヶ月が過ぎ今年もめまぐるしい日々となっております。
昨年もたくさんの方にクラフトファー(フェイクファー、エコファー)を使っていただき感謝の気持ちでいっぱいです。ご挨拶が遅れましたが、本年もどうぞ中野メリヤスをよろしくお願いいたします。
そして、これからますます冬本番。
日々の彩りに、生活のなかに暖かいファーをまとって「ふわふわ、ぬくぬく」しましょう。
本多沙映さん個展 cryptidクリプティッド
新年早々から嬉しいお知らせ。
2023.1.11〜2023.1.31まで東京、西武池袋本店アートカプセル+にてフェイクファー(クラフトファー、エコファー)題材にした新作を発表の個展がございました。
本多 沙映(sae honda)さんは国内外でデザイナー/ジュエリーアーティストとして活躍されており、2010年に武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科を卒業。2013年から2016年にヘリット・リートフェルト・アカデミージュエリー学科(アムステルダム)で学び、2021年にオランダから日本へ拠点を移す。作品はアムステルダム市立美術館、アムステルダム国立美術館、アーネム博物館に永久所蔵されています。また、コミッションワークも手がけられています。
既存の価値体系に詩的なアプローチで緩やかに疑問をなげかけながら、オルタナティブな美意識を探求。自然と人工物の境界線が曖昧になりつつあるこの世界を俯瞰で見つめながら、新しい価値を形にしている。
新たな価値の提案、新しい視点でみるファー生地
フェイクファー(クラフトファー、エコファー)は本物の毛皮より安価で云うならば価値が低いという位置付けでしたが、昨今の動物愛護の観点から「存在価値」は上がってきています。
ただ、フェイクファー(クラフトファー、エコファー)の原料のほとんどは石油由来の化学繊維で作られているのは事実です。そのような背景を汲み取りながら素材研究や製造の現場をフィールドリサーチを通し生地の価値について考察した軌跡を提示されています。
動物の毛皮の多種多様な色彩と模様だけでなく、手触りにインスピレーションを受けながらその再現を通して自然の産物の美しさを実感する。
「人間のものづくりにおける純粋で尊い自然との関わりを、大量消費という文化の中でネガティブなものへと転化させてしまわないようにと想いを込めた。新しい毛皮のかたち」という想いが込められた作品は、廃棄されるフェイクファーのはぎれを、フェルティング技術を応用し、縫製せずにひとつひとつ手作業で毛を絡ませながら繋ぎ合わせたものです。
また、「EVERYBODY NEEDS A ROCK」や「Tears of the Manmade」などのアーカイブコレクションも展示販売も。プラスチックゴミや自然物など身近な素材を使い、新たな価値を生み出しカタチを変えて、人々に語りかけているように感じました。
アート作品を通して感じたコト
正直、ファー生地は毎日見ているものでしたが東京でアート作品として「違う場所で見る」ということで、まずは新鮮な驚き。そして手作りの作品はどれも斬新さに溢れていました。
ただ、ハギレをもらってアートにする。ということはせずにキチンと高野口に来て生地について研究し、カタチにしていくというひたむきな情熱に胸を打たれました。
ストーリーのある意志を持ったアートというのはこれだけ心に響くのだと。
ファー生地の商品にならない端っこの部分はなるべくサンプル帳に活用したりと無駄のないよう心がけています。
その作成過程も以前トピックスにてご紹介させていただいておりますので良ければご覧くださいね。
素敵なステッカーもいただきました。
本多さんに見つけていただき、アートという形でフェイクファー(クラフトファー、エコファー)の存在を知ってもらえる「きっかけ」になれたことに感謝しております。
ひとりでも多くの人に日本で作られているという事を、まずは知ってもらいたい。
この展示会を見て、その記憶があたまの片隅に少しでも残れば嬉しいな。と思い東京を後にしました。
ちなみに、cryptid個展で流れていた動画はコチラからご覧いただけます。
高野口の風景やフェイクファー(クラフトファー、エコファー)の製造過程から本多沙映さんの作品ができるまでを見ていただけますよ。
小さな小さなハギレから、いびつな形をしたハギレ、毛足の長さも柄もバラバラ。それをひとつひとつ手で繋げていく。そのうち大きな一枚の生地にという作品に生まれ変わる。
人と人とのつながりというのも、一人ではできないことが多くの人がつながることで成し得ることがあったり一人では思いつかなかった事が、他の人の価値観を通して化学反応のようにインスピレーションが生まれたりする。
これまでの出会いに感謝し、これからの未来の出会いや発見を楽しみに2023年も中野メリヤスはウサギのように心弾みジャンプ(飛躍)できるよう精進いたします。