高野口の伝統産業であるパイル織物。
私たちはそこから生み出されたファーと共に暮らしてきました。
そこには歴史や自然、職人・技術・工場など沢山の想いが紡がれています。
時代は移り変わり、持続可能な社会へと向かう中でクラフトファーもエシカルな生地素材としてその可能性を拡げています。

私たちは生産者としてこの伝統を次の世代へと紡いでいきます。
ここ高野口町から持続可能な世界を目指して。

高野口

和歌山県橋本市高野口町。霧に覆われた幽玄な高野山の山々の麓。平安時代後期から霊峰高野山への参詣口の宿場街賑わいました。高度経済成長期には日本全国のパイル織物のシェア80%を誇った産地です。現在も日本国内においてフェイクファー生産のシェア100%を誇っています。手にとると高野口にしか残存しない特殊な編み機や熟練の職人の技術が光る製品となっています。その品質は国内外のアパレルブランドからも熱い視線が注がれ、世界的にも高野口パイルをはじめフェイクファーの生地素材の唯一無二の産地として認知が高まりつつあります。「MADE In KOYAGUCHI」私たちはこれからも、ここ高野口から文化と伝統を紡いでいく。

紀の川

高野の山々を横切り悠然と流れる清流、紀の川。紀の川はいつも川のほとりで営まれる人々のくらしや産業を見つめてきました。その源流は奈良と三重の県境、日本有数の多雨地帯である大台ヶ原山。四国、淡路島、紀伊半島で囲まれた紀伊水道を河口にもつ一級河川です。私たちのつくるクラフトファーの染色にはこの紀の川の水を汲み上げて行われます。染色の工程で新鮮な大量の水が必要になるのです。時代はサステナブル。私たちも地域や自然環境に配慮した素材の開発を進めています。これからもクラフトファーの産業と人々の暮らしの変遷は紀の川と共に。

工場

クラフトファーの工程には、原糸の染色に始まり(後染めもあり)糸繰りや整経から製織・丸編み工程、テンターと呼ばれる生地の延伸工程、糊付工程を経て毛割り・シャーリングと呼ばれる裁断工程ポリッシャーという高熱を加える工程でファーの光沢やボリューム、柔らかさなど風合いを仕上げていきます。実に多くの工程を含んでおり、複数の工場が連携して一つの製品を作っていきます。中には高野口町にしか残存しない特殊な編み機や特許取得技術が多数存在します。

職人

高野口にはオリジナルの編み機や特許技術が多数あり、工場で働く人々はそれらの機械や技術を取り扱える貴重な職人となっています。しかし、人口減少や海外製製品との競争の中で、年々各工程の技術をもった職人が減っており、残された技術者の高齢化も課題となっています。近年、SDGsなどの持続可能な社会が叫ばれる中で、動物をリアルファー(毛皮)採取のために殺処分する動きに世界的な反対運動が起きています。それにとって代わるクラフトファーの拡がりは欧米を中心にますます進んでいくことでしょう。高野口独自の伝統や職人の技術を次世代に残し受け継いでいくということは、文化的にも、動物にとっても持続可能な社会をつくっていくということだと考えています。また、そうしたサステナブルな視点も高野口のパイル企業としての私たちの責務だと考えています。

クラフトファー

クラフトファーはもとより高野口町が農業の傍ら養蚕や機織りが盛んだった背景から、明治10年前田安助氏の「再織」という特殊織物の製法に端を発します。その後パイル織物と呼ばれるいわゆる「織り」と「編み」とが合わさったものとしてクラフトファー(フェイクファー)が誕生しました。その後リアルファーに対してフェイクファーやエコファーという呼称で扱われてきました。近年、アパレル業界においても持続可能な社会を考える上で、生地搾取を目的とした動物の殺処分をしないというエシカルな衣類とされ欧米では「ヴィーガンファー」と呼ばれており、ますます国内外のトップブランドから高野口のフェイクファーへの注目が集まっています。「クラフトファー」決してフェイクではないその価値。その価値を伝えていくため exterial (エクステリアル)では、新しい呼称として「クラフトファー」と名付けました。

【クラフトファー】動物の毛皮を模倣するというレベルを超えて、高野口発の伝統技術「再織」を起源とした高野口パイルをベースにつくられる生地素材。高野口にしか残存しない特殊な編み機と熟練の職人達の技術が結集した、機能性と美しさを兼ね備えたファー素材。

お客様へ

意外と高野口パイルは身近なところで使われています。新幹線の座席、国会などの椅子、国内外のトップブランドの冬物のアウター素材など。伝統や歴史も勿論、持続可能な社会も勿論そう、けれど私たちがここ高野口で雄大な自然と熟練の職人たちと生み出してきたクラフトファーの本物を超えるほどの質感。いつか私たちのクラフトファーがあなたの手に届き、その柔らかな手ざわり、毛並みの光沢の美しさ、品格のある風合いに乗せて、日本のものづくりの素晴らしさや想いが届くことを願っています。